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「明るさ」か「減速」か! アップル、グーグル、フェイスブックの四半期収益が示したもの
韓国・サムスン電子はモバイル・タブレット部門の大幅な伸びが支える
日本でも企業の3月期本決算の発表が本番を迎えていますが、すでに海外企業は2012年1-3月期の業績発表を終えています。
そこで、ここでは注目3社、アップル、グーグル、フェイスブック3社に加えて、韓国・サムスン電子の最近の収益状況を見てみました。
アップル・・・確かに驚異的な収益水準だが、製品は『二極化』がクッキリ?
“快走してきた”iPodにも陰り?
アップル社の1-3月期の業績は、前期のクリスマスシーズン(10-12月)に大幅に売上げが伸びるため、毎年、時系列で見るとやや低調な数字が上がってきます。そのため、前四半期(2011年10-12月)と比べると、売上高15%減少となってしまうのですが、
前年同期(2011年1-3月期)と比較して見ていくと、売上高は59%増の392億ドル(3兆1360億円)、純利益は94%の116億ドル(9280億円)と、文句のつけようもありません。
iPhoneの販売台数が3506万台と88%増となったこと、iPad も1180万台と2.5倍を記録し、これがけん引役となっています。ただ、その一方では、MACコンピュータ(デスクトップ・ポータブル)の販売台数は7%増にとどまり、音楽配信のiPodは▼15%と元気がありません。に
確かに、すべての製品分野が“快走”なんてことは望みませんが、MACコンピュータとiPod分野で、このところ目新しいニュースがめっきり減ってきています。今年半ばには、MAC BOOKで新製品が投入されることが予想されていますが「iPodは?」、です。新たなニュースが出てくるのか、それとも、「忘れられつつある商品」になってしまうのでしょうか?
さらに、iPad は市場予測では「四半期ベースで1350万台は行くのでは」と見られていたのですが、この水準には達しませんでした。これを?懸念材料″と見ているアナリストもいます。極端に「iPad は売れていない!」と表現しているメディアもあります。
ただ、毎年、私たちを何かで驚かせてくれるのがアップルのひとつの持ち味です。
この先、アップルTVなどで、サプライズを準備しているのかもしれませんが・・・。
グーグル・・・模索していた新たな収益源に光明が差してきた?
広告収入は、単価下落も数量増でカバー
グーグル社の決算発表(2012年1-3月期)では、ラリー・ペイジCEOが「すばらしい四半期だった」というコメントを出しました。これは、3か月ほど前の前四半期のときに「どこに集中すべきか厳しい選択を行う必要がある」と発言したのと比べると、かなり“明るさ”が増しています。
どんなところが変化したのでしょうか?
実際、この期は、前年の同じ時期と比べると、売上高は24%増の106億5000万ドル(8520億円)、純利益は61%増の28億9000万ドル(2312億円)という伸びを記録しました。
ペイドクリック(広告クリック)の単価水準(広告主がグーグルに支払う費用)自体は、前年同期比で1割ほど下落しているのですが、これはモバイルやタブレット広告など低価格広告の占める割合が増えたためで、逆に単価が下がった分、広告ボリュームは増え、結果的に広告収入の増加をもたらす結果となっています。
グーグルはこれまで収益の大部分をオンライン広告に依存している体質でしたが、前期、新たな収益源を求めて“模索”の状態にあったといえます。
それが、この1-3月期では、ウェブブラウザの『Google Chrome』、独自のソーシャルネットワークシステム『Google+』、クラウドサービス事業である『Google Apps』、モバイルOSである『Android』といった“その他の事業”の収入が、前10-12月期に比べ56%増を記録したのです。「戦力」と呼ぶには、まだまだその収益比率は小さいものですが、新しい芽が育ってきていると感じさせるものと言えるでしょう。
つまり、グーグルにとっては、覆っていた黒い雲が少し消えて、明るい空が見え始めてきたような様相になってきたのかもしれません。
ペイジCEOの明るいコメントは、そんなところに要因があるのかもしれません。
フェイスブック・・・「勢いにブレーキ」という見方も?
ユーザー数は9億人を突破
2月に上場申請し、いよいよ上場企業となるフェイスブック社のその後の様子はどうなのでしょうか?
申請時に8億4500万人としていたユーザー数は、その後も順調に伸び、ついに9億人を突破。1日当たりのコメント数は27億件から32億件へ増えています。
ただ、収益データを見ると、この1-3月期はこれまでの「とにかくすごい勢い」という感じが、「ウーム、少し鈍ってきたのでは?」という印象です。
売上高の10億5800万ドル(846億円)は、前年同期と比べると45%増加していますが、前の10-12月と比べると6%減少という結果でした。また、純利益の2億0500万ドル(164億円)は、前年同期で12%減少という数字でした。企業規模が大きくなるにつれて、経費が膨らんでいるからなのでしょうか?
フェイスブック社では「広告の季節的要因」と説明しています。
しかし、こういった要因をモノともせず上昇してきた、これまでのフェイスブックと比べると、やはり懸念は感じてしまいます。アナリストも「まだまだ、世界の各地で、フェイスブックが開拓されていない地がたくさんある」という見方がある半面では、「減速は今後も続く」といった見方も出ています。上場直後の次の四半期が注目されます。
上場では、IPOの公募価格条件が28-35ドルから34-38ドルの水準へ引き上げられ、企業価値は930億~1040億ドルと見積もられています。 フェイスブックへの関心度や投資意欲は相変わらず「特別」の位置にあります。
サムスン電子・・・売上高(四半期)ではアップルとほぼ同水準だが、利益率に差。モバイル・タブレットが稼ぎに稼ぐ
ちょっと視線を移し、「韓国の」と言うより、いまや世界の大手総合電機メーカーとも言えるサムスン電子の四半期決算(2012年1-3月期)を見てみましょう。
折りしも、日本では、パナソニックとソニーが「有機EL」での共同開発提携のニュースが流れています。今後、“対サムスン”との闘いで、この連合軍がどのくらいのパワーを発揮できるのでしょうか。できることなら、この2社がもっと上り調子のときに?連合”ができていたら・・・と思ってしまうのですが。
いま、サムスン電子の売上高の中身はこんな感じになっています。グラフを作ってみました。
サムスン電子の2012年1-3月期の売上高は、前年同期比で22%増加し、45兆2700万ウォンを記録しました。これは、日本円に換算すると、約3兆1400億円ということになり、米国・アップル社とほぼ同じ水準ということができます。
純利益の額で見ると、サムスン電子は四半期ベースでは過去最高の5兆5000億ウォン(3800億円)を記録しているのですが、これはアップル社の9280億円と比べると約4割の水準です。つまり、対売上高純利益率にすると、アップルの27.1%に対し、サムスン電子は12.1%といった具合になるわけです。
サムスン電子の売上高(2012年1-3月期)の中身を見てみると、
部門名 四半期売上高(10億ウォン) 前年同期比(%)
・CE部門(薄型TV・家電等) 10.67 101.9%
・IM部門(モバイル、タブレット等) 23.22 169.6%
・SM部門(半導体等) 7.98 ▼13.1%
・DP部門(ディスプレイパネル等) 8.54 131.2%
といった具合になっています。
やはり、目立つのは、スマートフォンの「Galaxy S」や新発売の「Galaxy note」の伸びが大きく貢献したIM(携帯電話)部門です。売上高でも前年同期比で69%増を記録していますが、利益面での貢献度さらに大きく、営業利益全体の73%を稼ぎ出しているほどです。
ちなみに、日本の電機メーカー勢が軒並み大赤字の原因となったテレビ・家電の部門では、売上高こそ前年同期比で2%増と控えめでしたが、営業利益は前年同期の8000万ウォン(550万円)から、5億5000万ウォン(3780万円)へと急速に回復しています。
とは言うものの、この利益水準では、テレビ・家電製品が世界的に“儲けが薄い商品”になっているのはサムスン電子も例外ではないようです。
カテゴリ: ビジネス・マネー