イタリアの地方菓子の魅力は ”ちょっとニクいネーミング”!

『おしゃべり』の時を過ごすか、エスプレッソに『溺れさせるか』…

pasticceria

 

最近、イタリアの地方のお菓子(ドルチェ)をいろいろと調べる機会があったのですが、イタリアのお菓子は、フランスの菓子に見られるような華麗なデコレーションこそありませんが、素朴なかたちの中に素材のおいしさがストレートに感じられ、とても魅力的でした。

日本でもティラミスやパンナコッタといったお菓子は、すでに馴染みになっています。

イタリアのお菓子(ドルチェ)は、もともとは農家の台所でマンマ(母親)が作っていたお菓子が多く、チーズや小麦など各地方の豊かな食材・素材を生かしたものが中心です。そして、魅力のひとつになっているのは、お菓子のネーミングで、そこにはイタリアの小粋な洒落(シャレ)を感じることができます。

 

「キヤッケーレ」―― 食卓の楽しい音が聞こえてくる

kiyakere

キヤッケーレは『おしゃべり』という意味で、パリパリ、サクサクとした食感から来ています。日本的に言えば、甘い“揚げ煎餅”でしょうか?

小麦粉、砂糖、卵、バター、レモン皮などで作った生地に、切り込みを入れて揚げ、粉砂糖を振ったシンプルな“揚げ菓子”ですが、形は地方によって布切れ型、バラ結び型、カーテンひだ型などがあります。カーニバル(謝肉祭)の祝い菓子ですが、いまは家庭の「つまめるおやつ」として定着しています。

 

「アッフォガート・アル・カフェ」は“溺れたアイスクリーム”?

 Affogato is espresso poured over gelato and whipped cream.

アッフォガートというのは『溺(おぼ)れた●●●』という意味です。バニラ味のジェラートにエスプレッソコーヒーを少し掛けたスタイルの「アッフォガート・アル・カフェ」となれば、「コーヒーに溺れたアイスクリーム」となるわけです。ほろ苦さのなかに浸って、イタリアン・ジェラートのおいしさが一層引き立ちます。お好きなリキュール(少量)や抹茶に溺れさせる手もありそうです。

 

「バーチ・ディ・ダーマ」――ロマンティック気分を誘う

barti

『貴婦人のキス』という、なんともロマンあふれる名を持つのがこのバーチ・ディ・ダーマです。バーチは「キス」、ダーマが「貴婦人」を意味しています。アーモンド風味の小さなクッキーの間に、チョコレートを挟んだ一口サイズのお菓子で、「チュッとキスをする時のように、小さくすぼめた口でも食べられるから」、「2つのクッキーがキスをしているように見えるから」といったところから、その名前がついたそうです。

 

なぜか“スープ”の名が付けられた「ズッパ・イングレーゼ」

zuppa

シロップやリキュール(アルケルメス酒)をしみこませたスポンジケーキとカスタードクリームを重ね合わせたこのデザートは、なぜか『イギリス風スープ』という名前です。その由来には諸説ありますが、「イギリスから来た客人にお出ししたら、たいそう喜ばれた」、「リキュールをたっぷりしみ込ませてあるから・・・」といった説が有力なのだそうです、上にメレンゲを乗せて焼いたり、イチゴを乗せて華やかになります。

このほかにも、『天国のお菓子』と名付けられた「トルタ・ディ・パラディーゾ」、カーニバルの喜劇に登場する主人公の名前からきたチョコレート「ジャンドゥイア」、千夜一夜物語『アリ・ババと40人の盗賊』から名付けられた「ババ」(イタリア風サバラン)などもあります。ちなみにティラミスは『私を上に引き上げて』『私をもっと元気にして!』という意味だそうです。

 

参考資料:「私のとっておきイタリアのカフェ&ドルチェ 」 

http://sanaegakuen.co.jp/about/01.shtml