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スポーツの世界には“呪いの物語”があふれてる!!
英国で話題となった『ジレットの呪い』。スポーツと呪いの密な関係・・・。
オーストラリアの日刊紙で、南半球で最古の新聞社である『シドニー・モーニング・ヘラルド紙』が、14年前に「降りかかる災難。スポーツには“呪いの物語”があふれてる!!」という記事が載せたことがあります。
実は、この発端となったのは、英国で話題になった『ジレットの呪い』という記事なのです。
けっこう格調の高い雑誌が「呪い」をとりあげたので大きな話題に・・・。
英国で記事になった『ジレットの呪い』とは・・・
スポーツ選手に降りかかる災難
2009年のことです。英国・ロンドンに本拠を置き、格調の高い経済記事などで定評がある『エコノミスト誌』が「ヒゲ剃りで有名なジレット社のCMに出た途端、一流アスリートに災難が降りかかる」という記事を載せたことなのです。
題して『ジレットの呪い』。
その内容というのは・・・、
2008年からジレット社は“チャンピンズ・マーケティング”いうCMキャンペーンを始め、そのキャラクターを務めたのはゴルフのタイガー・ウッズ、テニスからは英国テニス界の貴公子と呼ばれていたロジャー・フェデラー、サッカーではフランス代表選手のティエリ・アンリの大物3人でした。
しかし、その直後から、タイガー・ウッズには不倫スキャンダルが勃発し、人気は急下降、プレーにも影響を及ぼしたのです。
また、フェデラーは、CMに起用されてからなぜか調子を狂わせ、グランドスラムから遠ざかってしまうことになり、ティエリ・アンリにいたっては南アフリカW杯欧州予選で“故意のハンド事件”を引き起こし、厳しい批判にさらされるという実態が起こってしまった、というものです。
何しろタイトルが『ジレットの呪い』だったものですから、スポーツ・ファンだけでなく、噂好きの人たちにも大きな刺激を与えてしまって、他のメディアも追っかけ、ご丁寧なことに、当のジレット社に感想を訊きにいった新聞社もあったそうです。(もちろん返答は「ノーコメント」だったそうですが)
もちろん、CMと選手の成績やプライベートなどとの因果関係は証明などできるものではありません。ジレット社にとってみれば「呪い」とまで言われるのはとんだトバッチリです。大企業ゆえの一種の「有名税」みたいなもの、と受け取るしかないのかもしれません。
※ちなみにジレットの「フュージョン・プログライド・電動フレックスボール」はヒゲソリ史上最高の製品だと思います。
なぜ、スポーツの世界には「呪いの物語」がいっぱいあるのでしょうか?
86年も続いた『バンビーノの呪い』
「なんでトレードに出してしまったの!」
スポ―ツに絡んだ「呪い話」で最も有名なのは、米メジャーリーグの『バンビーノの呪い(The Curse of the Bambino)』でしょう。
発端は、1918年に、経営不振にあえいでいたボストン・レッドソックスがベーブ・ルース(愛称:バンビーノ)を金銭トレードでヤンキースに放出してしまったことです。
その後、ベーブ・ルースはヤンキースで大活躍。一方のレッドソックスは、強豪チームになってからも、なぜかワールドシリーズ制覇には手が届かず、という結果。そこから出てきたのが“バンビーノの呪い”という「呪い話」なのです。
あと一歩というところで優勝を逃すとその度に「やっぱりバンビーノの呪いだ!」と言われ続け、その期間は86年にもわたりました。
記録好き、因縁好きが多く棲むメジャーリーグですから、このテーマだけで本が何冊も出版されています。
「バンビーノの呪い」で書籍や雑誌もたくさん出ています。
現在でもヤンキー・スタジアムで行われるレッドソックス戦には“1918”と描かれたプラカードを掲げる観客の姿を見ることできます。
日本にもありますね。
阪神タイガースにまつわる『カーネル・サンダースの呪い』です。
1985年に掛布・バース・岡田のバックスクリーン三連発などでハデな優勝を飾った阪神タイガース。優勝に狂喜しすぎた阪神ファンが、カーネル・サンダースの像を道頓堀川に投げ入れてしまったのです。翌年以降の阪神ファンが大声を上げてもチームは低迷、リーグ優勝から遠ざかるシーズンが続き、「呪われているんだよ!」と言われたのです。
ようやく縛りが解け、リーグ優勝にたどり着いたのは2003年。18年かかったわけです。
2009年、道頓堀川の川底で発見され、引き上げられたカーネル・サンダース像
ファンのやり切れない思いを乗せて“呪い”が走る
やっぱりそこには刺激がなくちゃ!!
スポーツや勝負事の世界では、原因不明のスランプ、勝負どころでのまさかの敗退、突然のケガや故障発生などとなれば、(見ている側からも)「なんか、呪われているのかも」と“負の感情”が生じやすいとも言えます。
ご贔屓チームが負け続ければ、ファン心理としては、そのやり切れない思いをどこかに向けなければ気が済みません。そこで「呪い」との結び付けストーリーが生まれてしまうのかもしれません。
スポーツ紙の記者の話では「日本でも、メジャー移籍直後には15勝、18勝と大活躍した松坂大輔投手が、ヒジの故障を起こし、その後は成績が下降線をたどったケースや、女子スキージャンプ界でワールドカップでも“出れば勝ち状態”だった高梨沙羅選手が大舞台の平昌オリンピックでまさかの銅メダルとなったケースなどでも、たまたま同じCMに起用されていたので“呪い”に結び付けられたこともあったんだよ」といいます。
刺激を求めて、今日もどこかで「呪いの物語」が生まれているかも・・・。
そもそも「呪い」などとオドロドロしい言葉を使うから何やら黒魔術的な印象になってしまうのでは、と思ってしまいますが「“ジンクス”や“因縁”程度では刺激が足りません。やっぱりそこは“呪い”がピッタリでしょう!」というファンの声もあるそうです。
けっこう“呪い”で楽しんでいる部分があるのかもしれません。
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