『伝説の相場師』、勝ちへつなげる思考パターン(4)

ウィリアム・D・ギャン (William Delbert Gann)
年間479戦422勝を記録した「商品相場の探究者」
 その真髄を記した『ギャン・ルール』はいまも生きている!!

伝説的な投資家の多くが、株式市場を舞台にして活躍していたのに対し、ギャンは商品先物市場で名を上げたトレーダーです。
1933年、55歳の時の商品先物相場では、1年間で実に479戦422勝と勝率88%を記録し、利益率は4000%と駕異的な数字を上げたことで知られています。

gann-5

過去の相場を徹底的に研究し、独自の投資法を追求していった、若き日のギャン。

「第一次大戦」の開戦を見通し、
世界恐慌の大暴落も一年前から予測していた先見力

ウィリアム・ディルバート・ギャンをめぐる相場エピソードは数多く、1908年、30歳のときには130ドルの資金を30日で1万2000ドルにし、1923年、45歳のときには973ドルの資金を60日で3万ドルに増やした、という記録が残されています。

なかでも、ギャンの名を高めたのは1914年の第一次泄界大戦を予測したことと、1929年の大暴落をその1年前に予測し、新聞紙上で「多くの投資家が、その暴落によって、自信を失うだろう」と看破していたことです。

過去の相場の動きを徹底的に研究、
季節性・周期性、「戻り」の動きや「カベ」の存在を知る

W·D ・ギャンは1878年6月6日に、アメリカの綿花産地であるテキサス州ラフキンに生まれています。
代々軍人の綿農家の子として生まれたのですが、3人兄弟の長兄が幼少期に死んでおり、実質的には「2人兄弟の末っ子」として育っています。綿花栽培は豊作と不作を繰り返していたので、決して生活は楽ではありません。しかし、それさえ“天意”ゆえ、「恨んでも仕方がない。神は決して自分たちを見捨てない」として受け入れていたのです。

gyann-9

テキサス州ラフキンの綿花畑

大学進学を諦め、親友の家が経営する近くの綿花工場で20歳まで働いています。
その工場で綿花取引のノウハウを学び、24歳頃から少ない投資で相場をやるようになりましたが、誰も通る道のように、初期は大損もしています。

それで一念発起して、相場の値動きの研究に熱を入れるようになったのです。

30歳になると、それまで商品先物取引のプローカーをしていたオクラホマを離れ、ニューヨークに進出。
ニューヨークのアスター図書館の資料や、ロンドンの大英博物館の資料から、証券取引の記録を丹念に調べたり、商品相場の動きを入念に調べ上げたのです。
この徹底研究によって、ギャンは相場の値動きの特性を把握して行くのです。
そこには季節性や、周期性・幅があることと、戻り値にも「3分の1戻し」や「4分の1戻し」があること。
また、値動きを折線グラフにした場合、特定の銘柄には特定の“型”があることを自らの頭に叩き込んだのでした。

「価格と時間との均衡」を見極めるテクニカル・アナリスト
残した遺産は6600憶円に達する

ここからギャンは相場師としての本領を発揮し始めます。

「時間はすべての要素の中でも最も重要なもの。充分な時間が経過しない限り、どんな大きな上昇も下降も始まらない。時間という要素は値動きの大きさと出来高という2つの要素に勝るほど重要である」
とギャンは述べています。

gann-8

常にチャート分析がギャンの投資のベースに置かれていた。

ギャンの投資手法は、チャート分析を基本としていました。
いわゆる「テクニカル・アナリスト」です。過去を徹底的に検証し、とりわけ「価格と時間の均衡」にその理論の中心を置いたのです。

1955年に77歳でその生涯を閉じるまで、小豆やトウモロコシなどの商品先物相場を中心に取引を行い、残した逍産は当時のお金で5000万ドル、現在の価値になおすとその100倍の50億ドルに匹敵し、日本円で6000億円とも言われるとてつもない金額です。

gann-4

ギャンはその生涯の中で数冊の本に「投資法」を記している。

ギャンはその著書である『商品で儲ける法』のなかで
「その商品が過去においてどのように動いたかを知れば、将来を見極めることができる」
と説いています。

gann -3

 

これらの分析は「ギャン理論」というかたちでまとめられ、時間と価格の間に比例関係があるとする「ギャン・アングル」や「ギャン・スクウェア」、天井や底打ちの価格を予想する「リトレースメント」、大きな相場の転換時期を予測する「タイムサイクル」の理論を構築しています。

「商品相場は株よりも儲けることができる」
その実践をまとめ、「ギャン・ルール」を構築

しかし、多くのテクニカル学者が陥るような数字、チャートだけにとらわれるのではなく、ギャンは西洋占星術やインド哲学なども相場に応用しており、柔軟な頭を持っていたのです。

ギャンは「商品は株よりも儲かる]ということを18の理由をつけて述べています。
「商品には季節性があり、生産と消費で動き、予測が容易である」、
「猥気循現は株価よりも商品についてより明瞭である」、
「商品取引や予測のルールは一度学べば不変である」
といったことなどを挙げています。

一般の投資家に参考になるのはギャンが示した『商品先物取引で価値ある28のルール』で、これは一般に“ギャン・ルール”と呼ばれています。

とくに「リスクをコントロールすることの重要性」はギャンがもっとも強く訴えていた点で、ギャンの投資姿勢が「儲ける」というより、むしろ「相場で損をしないこと」に重点を骰いていたことと一致しています。

●資金を10等分にし、一回の取引に資金の10分の1以上のリスクを決してとらないこと。
●できれば2種か3種の商品を取引し、資金全部を一商品に集中させない。
●ストップ・ロス・オーダーを使うこと。
●活発な市場のみを取引すること。動きが鈍く、活気のない市場には手を出さない。
●安いというだけで買ってはならない。高いというだけで売ってはならない。
●実現益は蓄積せよ。
●損が出たあとでは取引量を縮めよ。決して増やしてはならない。

そのルールには意外性はなく、投資スタイルとしてはむしろ臆病ともいえるものですが、その生涯を商品先物相場で生き抜き、キッチリと利益を残したギャンの言策には、重みがあります。

「かつてあったことは、これからもあり、かつて起ったことは、これからも起こる。
太陽の下、新しいものは何ひとつない。
見よ、これこそ新しい、と言ってみても、それもまた、永遠の昔からあり、この時代の前にもあった」

「向学心を絶えず持つこと。そのような人こそが投機と投資で成功を手にするのだ」

gann-619

ギャンの墓には、花が手向けていく人も多い。

55年6月14日、満77歳。ギャンはニューヨークのブルックリンにあるメソジスト病院で永遠の眠りについています。

Tweet about this on TwitterShare on FacebookShare on Google+Email this to someone