JAPAN VIEW
輪切りで見る日本の「こんなこと」。その断面図を「絵とき」してみました
新年の初売りセールには欠かせない光景だが「変わった体験」もテーマに!
「福袋を毎年買う派」は19%!
一度”お得感”を味わうとやめられない?
お正月の「初売り」に欠かせないものと言えば、「福袋」だろう。近年は、デパートやショッピングセンターが「消費の起爆剤」として力を入れており、種類の豊富さ、珍しい趣向の福袋が揃っており、人気の福袋を手に入れるために「徹夜組」の長い行列までできるほどの熱い支持を集めている。
2011年のお正月には、「SHIBUYA109」には1000人以上の若い女性が福袋のために並んでいたし、毎年、ファッション福袋・ビューティー福袋・ライフスタイル福袋・グルメ福袋・目玉福袋」などいろいろな福袋が販売するプランタン銀座店では、あっという間に売り切れ!という現象が起こっている。
デパートやショッピングセンターばかりでなく、家電量販店などの福袋も人気が高く、「ビッグカメラ」「ヨドバシカメラ」「ヤマダ電器」といった強豪が、福袋で販売戦線の火ぶたを切って落とす、といった格好になっている。
また、ネット販売サイトでも、数多くの福袋が年末の時期から発売されることも多くなっており、商品アイテムばかりでなく、販売手法としても、福袋商戦は多様化している。
福袋の起源は明治末期の『多可良函』
「好きVs.興味なし」がハッキリ分かれる
福袋の「起源」は定かではないが、明治44年に松坂屋の前身である「いとう呉服店」が『多可良函(たからばこ)』として売り出したのが最初とする説が有力である。
また、福袋研究会の恩田ひさとし氏が言う「江戸時代に、大丸が生地の端切れなどを詰めた袋を売り出したのが最初」という説もある。
いずれにしても、福袋は「日本発祥の文化」なのだが、今ではアップルストアが米国での新規開店時のセールで「LUCKY BAG」を売り出したり、ハワイのアラモアナ・ショッピングセンターにも登場したりする、という。
福袋は「一度、いい思いをするとやみつきになる」といわれ、固定ファンやリピーターも多い。
ネットアンケートなどによれば「ほぼ毎年、買う」という人は約20%というデータが出ており、「お買い得な福袋を売り出すお店に必ず並ぶ」、「家族で買いに出かける」というように、“福袋の固定客”となっている人も多い。
ただ、その一方では、「まったく福袋を買わない」という層は14%、「ほとんど買うことがない」という人も45%おり、その人たちからは「なんでお店の在庫処分を買わなきゃいけないの?」、「得することなんかない!」といった、強烈な否定的見解が出てくる。
つまり、福袋へのし好は、両極端に振れることが大きな特徴ともなっている。
福袋通に言わせると、福袋の購入で成功するコツは、
「欲しいブランドやアイテムなどの的を絞ること」
「ネットの前情報や、口コミの評判なども知っておく」
「福袋仲間を作って、要るもの・要らないものを交換すること」
など…が挙げられているが、
最も大事なのは「買うこと自体を楽しむこと」だという。
“福袋2012”のキーワードは
「体験型・節電・絆(きずな)」
さて、2012年の福袋が出揃ってきているが、そのキーワードは、
「体験型」
「節電」
「絆(きずな)」 の3つだと言われている。
「体験型」では、名古屋三越が売り出す「家族揃ってソバ打ち体験福袋」や、東京・東武百貨店が売り出す「東武日光駅 一日駅長体験福袋」、変わったところでは、高島屋京都店が売り出す「1日2人限定 祇園の舞妓に成りきる福袋」といった18万円の高額福袋も登場するという。
モノが身の回りにあふれている現状を反映して、モノより「体験」の価値が高まっている中にあって、紋付きはかまで「関取・土佐の海関の断髪式に参加できる」、福島県いわき市のズパリゾートハワイアンズで「フラガールにとして舞台に立てる」といった福袋も用意されている。
普通ではちょっと経験できない体験こそが売り物になる!といった点が、2012年の福袋の大きな特徴と言えるかもしれない。
「節電型」では、震災後、節電やエコへの意識が高まっている今、家の中で、電気を使わずに、心も身体も温まるグッズを取り揃えた福袋をデパート各社が競って売り出している。東京の松屋が用意したのは「あったかグッズを着込んで、電力に頼らない生活を目指しましょう!福袋」で、あったか系パジャマ、あったか靴下、腹巻、毛糸のパンツ、あったかインナー、
レッグウォーマー、ルームシューズなど計 13 点入っているというモノ。
また、食品系でも、最近、身体が温まるとして人気が高いしょうが(ジンジャー)も人気で、「ジンジャー・ジュース&ジャム」などをセットで販売する福袋が登場している。
福袋は世相を反映する!
女性向けの「婚活福袋」も話題に
「絆(きずな)」では、やはり東北の被災地を支援することをテーマにし他福袋が出揃っている。京王百貨店・新宿店が「お国自慢福袋」の目玉として準備したのが「東北3県(岩手・宮城・福島)福袋」で仙台の牛タンカレーや福島の喜多方ラーメン、岩手の手焼きせんべいなどが詰まっているそうだ。
また、きずなという点では、プランタン銀座の「“絆婚”応援福袋」に話題が集まっている。婚活アドバイザーの指導を受け、男性バイヤーが選んだバッグや靴、スカートなど10?11点が入っているという。好みの男性別にソフト系ファッション、エグゼクティブ系ファッション、クリエイター系ファッションの3種類の福袋が用意され、意中の男性を落とせるかも!?ということらしい。
また、東京・銀座の商業施設マロニエゲートでは「お見合い付き福袋」が登場する。購入者を女性に限り、その友人と男女2対2の出会いを演出するもので、婚活アド バイザーが全面監修し、年齢や職業など「理想の男性」の希望を伝えれば、メンバー制クラブから相手を紹介する仕組みだ。洋服代や ディナー代など計14万円相当を3万円(販売数3セット)で販売する福袋だが、本当に福が呼べれば、決して高い買い物ではないのかも・・・。
〔掲載データ出典元〕