JAPAN VIEW
輪切りで見る日本の「こんなこと」。その断面図を「絵とき」してみました
「カラダが温まる」、「囲んで、にぎやか」が鍋の魅力
83%の人が「鍋好き!」
鍋料理の定番御三家「すき焼き・おでん・寄せ鍋」に「キムチ鍋」が迫る
冬の寒さに対応するために欠かせない家庭の食は「鍋料理」である。全国各地にはそれぞれの「ご当地の鍋料理」があり、ウインターシーズンの食卓には必ずといって「鍋」を囲む人々の光景が映し出される。
各地で若干の違いがあるものの、全国共通の鍋の定番といえば、「すき焼き・おでん・寄せ鍋」で、鍋の“御三家”とも言える位置にあるだろう。これに続くのが「しゃぶしゃぶ」、「水炊き」、「湯豆腐」と言えるだろう。
「キムチ鍋」はいまや定番鍋の一角に
美容効果で、女性層に「コラーゲン鍋」も人気
ただ、この冬の家庭料理の主役とも言える「鍋」の課題は、昔から「具材・味付けなどがどうもバリエーションが少なく、似たような味になってしまう」というものだ。
そのため、最近では新しいタイプ、新しい味の鍋料理が次々と登場きており、鍋の勢力図争いも混とんとしてきている。スーパーマーケットの鍋料理コーナーには、10種類以上の「鍋つゆ」が並ぶようになってきている。
いま、老若男女のアンケートで「人気の鍋料理」、「食べてみたい鍋料理」を聞くと、必ず上位に上がってくるのが「キムチ鍋・チゲ鍋」だろう。
韓流ブームはテレビドラマやK-POPだけではなく、食の分野においても近年、韓国料理の人気は高く、いまや「キムチ鍋は日本の食卓でも定番になりつつある」と見ることができるだろう。
それに迫る勢いで、今年の鍋の主役の一角とも言えるのが「トマト鍋」。
トマト独特の酸味で、好き嫌いが分かれると言われているが、「子どもも好きで、家族揃って楽しめる味」、「豚肉でもいいし、海鮮も合う。ジャガイモなどの具材がおいしく食べられる」、「トマト鍋の“〆(しめ)”のチーズリゾットがおいしい」といった声も多くなっている。
また、一時のブーム時ほどの人気はないとはいえ、「カレー鍋」や「豆乳鍋」も、依然として高い人気を保っている。「カレー鍋でも、変化を出すため、和風カレー味や、スパイシーなカレー味などいろいろ試している」と言う人や、「豆乳鍋も、最近ではゴマ味を加えている」と言う人も。
いま、女性層から絶大な支持を集めているのが、肌にいいと言われる「コラーゲン鍋」。外食で、鶏ミンチなどの具材で食されることが多いようだが、家庭向けにも、コラーゲンボール(日本ハムの「コラーゲン玉」など)が手に入りやすくなってきたため、女子会やホームパーティなどでの出番が増えているという。
「囲んで、つついて、盛り上がる」のが鍋の魅力
だが気ままな「一人鍋」も使い切りメニューの代表に
旅行代理店大手のJTBが2011年秋に行った『鍋料理アンケート』によれば、回答者の83%が「鍋料理は好き」と答えている。
「鍋料理の魅力、楽しみは?』という問いに対しては、
身体が温まる
仲間・家族と囲んで、にぎやかになる
さまざまな食材を楽しめる
野菜がたくさん摂れる
お酒(アルコール全般)に合う
といった答えが上位に並んでいる。
鍋料理は、材料の種類が多く、油をほとんど使わないので、大半が低カロリーでヘルシーで、健康面での効用も高いほか、準備や後片付けが比較的簡単なので、忙しい主婦にとっては強い味方となるメニューだ。
鍋調理の薬味として、もみじおろし、ゆず胡椒、しょうがなどがよくつかわれるが、これらも身体を温める効果があり、体温が一度上がれば免疫力は500?600%高まると言われており、「冬の鍋」は理に適っていると言えるだろう。
鍋を囲んでつつくといった「フレンドリーで、楽しい食シーン」を演出できる、というのがこれまでの鍋料理のセールスポイントなのだが、最近では「一人鍋」という言葉もあり、個食シーンに鍋が登場するケースも多くなってきている。
「一人鍋だからこそ、自由に好きなものを入れて楽しめる」、
「冷蔵庫にある余った食材を使い切るのには鍋が最適」と、節約メニューとしての鍋効果も大きいようだ。
鍋料理のあと押しは「寒さ」
次にブレークする「ご当地鍋」は?
「鍋奉行」と呼ばれるように、鍋には仕切り役が登場するが、そのこだわりは「味付け」、「食材」、「具材を入れる順序」が上位を占めている。
鍋料理は季節の気温の変化と密接な変化がある、といわれており、鍋に使われるネギ・白菜などの消費は気温に大きく左右される。そのため、野菜卸業者などは「寒い冬」が到来するのがいちばんの好材料と言う。
いまや若い人が鍋パーティを開くことも多く、友人が集まるときはもちろんのこと、「クリスマスにも鍋」といったケースも増えている。昔から、何かの記念日の料理には鍋といったことも根強く、年代を超えてファンが多いのも鍋料理の強さの原動力だと言えよう。
震災以後、再び価値が見直されている「団らん」とか「人との絆」を醸成するのに、鍋料理は最適なコミュニケーションツールと言えるかも知れない。
日本には各地に、地元の食材を生かした『ご当地鍋』があり、すでに福岡発祥の「もつ鍋」は全国区になっている。食べてみたいご当地鍋のアンケートでは、北海道の「石狩鍋」、秋田の「きりたんぽ鍋」、山梨の「ほうとう」、広島の「牡蠣の土手鍋」、高知・和歌山の「クエ鍋」などが上位に挙げられている。
〔掲載データ出典元〕