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[PARTY BAG CHAIR] デザイナー
GRACE LIFE DESIGN 代表 鹿野敬子さん
人を驚かせたり、ワクワクさせたり出来る、
そんなデザインをしていきたい
PARTY BAG CHAIR(バッグ形式組立式家具)
と聞いて、どんな商品を思い浮かべますか?
はじめてこの商品の存在を知った時、「アート作品」という印象を受けました。
「どうしてもこの商品を作りたいと思い、夢中で作りあげてしまった」という、インテリアデザイナーの鹿野敬子さん。
商品作りの「プロセス」や「こだわり」、デザイナーとしての思いを伺いました。
「欲しい」「驚かせたい」という強い欲求に突き動かされて、
それからは猪突猛進でした
──PARTY BAG CHAIR、デザインがとても素敵ですね
ありがとうございます。
見た目はバッグの様に見えますが、お友達をパーティに招いて、パッと組み立てたら「これ、イスになるの?」なんて、サプライズな使い方もできます。
私がしたいのは、人を驚かせたり、ワクワクさせたり出来る、そんなデザイン。
それが、デザイナーとしての大きなモチベーションなんです。
実用面ではまだまだ改良の余地があると思っていますが、遊び心は大切にしていきたいと考えています。
PARTY BAG CHAIR 2種とPARTY BAG CUSHION 2種。いずれも一点もののデザイン。世界に一つしかないデザインをお部屋に取り入れたい方へ。
──とてもユニークな商品です。どんな場面で発想したのでしょうか?
ある時、インテリアショップでスツールのBOXを見かけたんです。蓋を開けたら背もたれと座面になって、脚をつけられたらイスになるのでは?と閃きました。さらに持ち運びも出来たら面白いんじゃないかなと考え、自宅に戻ってすぐにデザイン画を描いたんです。「欲しい」「驚かせたい」という強い欲求に突き動かされて、それからは猪突猛進でした。
クラシカル、ハード、ラグジュアリー、ロックテイスト…ミックス感が個性を放っている。
座面を上げた状態でディスプレイするのも面白い。
──実物を見せていただくと、こだわって素材を選んでいらっしゃるんだろうと感じます
そうなんです。
一つ一つのパーツにまで、こだわらずにいられないんです。そういうことには妥協ができない性格です。
最初にPARTY BAG CHAIRを自分の手で試作した時も、とにかく形にしたいと思い、知人である家具の先生を訪ねました。デザイン画を見せて「こういうものを作りたいんです」ってお話をして。
先生に教わりながら家具を自分で製作しました。パーツは既成品には合うものが無かったため、革の取っ手も自分で作りました。
初めての経験だったので難しかったですが、面白くも感じました。夢中でしたね。
オーストリッチにターコイズカラー。この色味を出すには何度もサンプルを出して貰い、塗装の工程にも立ち会ったとのこと。鋲の大きさや質感、間隔も「これしかありえないんです」と妥協をゆるさない。
──こだわりのある物作りにはご苦労もあったんじゃないですか?
ええ、商品化に向けて、家具屋さんとは何度も打ち合わせをしました。商品として仕上がるまでに約1年くらいかかっています。パーツは全て私が持ち込み、何度も打合せを重ねました。
全ての商品に言えることですが、材料はできるだけ国産の素材を使いたいと思っています。気に入るものを揃えるのも意外に大変でした。
色を決めるにも、塗装の色見本を何種類かいただいて選び、実際の塗装現場にも立ち会います。
光沢の加減や、色の落とし具合をそこでさらに調整してもらうのも大切な工程ですから。
革職人さんにパーツを作っていただいたり、気に入る材料の仕入れ先を探したり…。それなりに時間や手間はかかりますが、一つ一つが大切なことだし、そういうことを苦労とは感じません。モノ作りが好きですから。
若い女性に人気のPARTY BAG CUSHION
──他の商品についても伺いたいのですが、クッションもステキですね。フワフワ感もたまりません
クッションはデニムそのもののダメージ感や柄、デザインを活かして作りたかったんです。
そこにファーや手編みのモチーフ、スワロフスキーなんかを合わせているのが私らしさかな、と思います。
このクッションカバーは中味を取り出せばクラッチバッグ風にも使えます。
若い女性に好評です。
素材であるデニムの選定、デザイン、一つ一つの商品がユニークでありながら、それぞれが鹿野さんらしいテイストを感じさせる。
意外と男性に人気のiPadケース
──iPadケースは最近販売を開始された商品ですよね?
展示会でクッションを見てくださった方が、「同じようなデザインのiPadケースなんか面白いんじゃない?」と提案してくださって。
「それ、いいかも」と思い、クッションのテイストや部品をそのまま活かして作ってみようと思ったのですが、職人さんと相談する中で、デニムのファスナー部分をそのまま活かす形ではなく、ステッチで表現するのも面白いと思い始めて、最終的にこのデザインにしました。
PARTY BAG CHAIRと共通する鋲使い。内側は本革張り。
もちろん、素材にはこだわっています。岡山デニムを使って、内側の革も上質なものを使ってます。「エイジングされていくとさらに味わいが出るものを」と、革職人さんと選びました。
PARTY BAG CHAIRにも共通する鋲も打って、デザインの共通点は残しています。
「可愛い」という声もいただきますが、「ビジネスシーンにもマッチするよ」というご意見もいただいてます。今のところ男性が多く買ってくださっていて嬉しい驚きでした。
今では世界的なブランドとなっている岡山デニムを使用
もちろん、合わせるものによってはフェミニンにもなるので女性にもお勧めです。
そうそう、同じデニムを使ったグローブホルダーも、もうすぐ発売を予定しています。そちらはブルージーンズの生地にスワロフスキーをたっぷり使っていて、裏面にはエルメスで使用されているものと同等クラスの革を張っています。
まだ、現段階で商品をお見せできないのが残念ですが、試作品をお見せした知人の女性に「どうしてもすぐに欲しい」と言っていただいて嬉しく思いました。
──iPadケース、素晴らしいアイディアをいただきましたね
本当に、提案してくださった方に感謝しています。
2つのブランド「FASCINO」と「MOCOSTYLE」
──鹿野さんはこれらの商品を「GRACE LIFE DESIGN」で、販売されているわけですね
はい。「GRACE LIFE DESIGN」には二つのブランドがあります。
一つはPARTY BAG CHAIRを筆頭に、これまでご説明したオリジナルデザインのインテリア・雑貨を扱う「FASCINO」というブランドです。
もう一つは「MOCOSTYLE」というブランドがあります。
このブランドで扱っているのは犬関係のグッズで、犬小屋とか、シャンプーなどを扱っています。
──犬小屋と言っても室内に置いてインテリアにもなる感じですね
はい、ちょっと腰掛けられるベンチとしても使えます。小型犬用を試作中で、近いうちにオーダーを受けられるようになります。
すでに注文したいという声もいただいていて、嬉しい限りです。
犬小屋。屋根部分は開閉でき、腰掛けられる仕様にもなっている。
──犬小屋も素材やパーツにはこだわっているんでしょうか?
木はホワイトバーチというカバ材を使っていまして、天然塗料で仕上げています。以前、愛犬がガンを患ったので、体にいいものを使ってあげたいという気持ちが強いんです。
──シャンプーにはどんなこだわりが?
愛犬の病気のことを知人に相談したら、「良いシャンプーがあるよ」と紹介を受けました。このシャンプーはオーガニック材料で作られていて、愛犬のMOCOもお気に入りです。このシャンプーにしてから、喜んで洗い場に入るようになって。
私も気に入っているので、現在は「MOCOSTYLE」オリジナル商品として扱わせていただいてます。
「MOCOSTYLE」 オリジナル、犬用シャンプー&トリートメント。
──愛犬と出会うきっかけは何かありましたか?
オーストラリアに住む妹が犬を飼いだして、とても可愛かったので、自分も犬を飼いたいという気持ちが芽生えたんだと思います。
ある時、「やはり飼いたい!」と思って、日本でシュナウザーのブリーダーを探したんです。
「生まれた」と連絡が入って見に行った時に、3匹の中から迷わずに決めたのを覚えています。一番大きくて、とても元気に動いていて、「この子だ」と思いました。
2カ月後、引き取る時に「実はミックスでした!」と聞かされましたが、迷い無く連れて帰りました。
彼女からはいつもインスピレーションを貰うんです。
彼女と過ごすことによって、私がリラックスするせいか、自分の中にあったアイディアが顕在化するんですよね。ビジュアル化されて頭に浮かんできたり…。
自然から様々なことを感じ取れるようになったのも、彼女を散歩させる習慣のお陰だし。本当に愛おしい存在。
そんな暮らしの中で、【 ペットも大切な「家族」の一員として「食」・「住」が最低限保障され、犬と豊かに暮らす社会になるよう貢献したい 】という想いが強くなりました。その一環として収益の一部を犬の保護団体などへ寄付させていただいています。
──なるほど、人との出会いで人生が大きく動くことがありますが、犬との出会いでも大きな影響を受けるものなのですね
そうですね。あると思います。
「MOCOSTYLE」のブランド名は、愛犬の「MOCO」という名前から来ています。
実は、この名前は当時行きたいと思っていた、イタリアの「コモ湖」から名付けたんです(笑)。
何年か後に行ってみましたが、とてもステキな場所でした。
──海外で印象に残っている国はありますか?
オーストラリアに短期の語学留学をしたことがあります。
ホームステイ先はサーフィンのジュニアチャンピオンのお宅でした。海が目の前という環境で。
日に3回サーフィンをするようなご家族なんです。
そこで「色々な生き方があるんだな」と感じて…自分の中で何かが開いた感覚があったというか。素晴らしい体験になりました。
──海外で暮らしてみて、デザイナーとして影響は受けましたか?
長く勤務した会社を辞めて、リセットするようなタイミングだったので、基本的にはボディボードをしたり、語学力をアップするのが目的で。
自然に触れ、スポーツをし、現地にしか居ない動物と触れあう…そんな時間でした。
セスナ機からエアズロックを眺めたり、グレートバリアリーフでダイビングも楽しみました。
そういう、個人的な思い出が大きいです。
でも、きっと無意識に、デザイナーとしての私も影響を受けたと思いますね。
特に影響を受けたのはアボリジニの文化からでしょうか。
あのビビットな色使い、音楽…。
ええ、間違いなく影響は受けていますね。
その一方で、外国から見た日本の良さにも気付きました。
日本の伝統文化の素晴らしさ、独特の色使いやデザイン。
それまで見過していたことに感動するようになりましたから。
設計事務所・デザイン事務所時代のワーク
──では、もう少し遡って、フリーになる前のお仕事についてお聞かせください。
設計事務所では、個人邸のコーディネート、
デザイン事務所では主にモデルルームの照明プランや造作家具も含めた内装設計など、室内インテリアのトータルコーディネートをしていました。
私は「どこかにインパクトのあるものを使いたい」と常に考えていたように思います。
木の温もりの中にアルミ素材を入れてみたり、一箇所だけビビットな色使いをしてみたり。柔らかい雰囲気の中にシャープなものを取り入れたり。
ただ、モデルルームにも流行があり、予算の関係上、色やデザインが似たようなものになるので、パターン化してつまらないと感じ始めて。
いつの間にか、さらに自由な発想で空間をデザインしたり、オリジナリティ溢れるものを作ってみたくなりました。
──そんな想いが高じて、フリーになったのでしょうか?
そうですね。
働き方、という面でも、家族や犬との生活を大切にしながら、自分らしくデザイン活動をしたいという想いもありましたし。
デザイナーとしての原点
──確かに、鹿野さんのデザインは、現在の商品もそうだし、過去の室内コーディネートを見ても、ミックス感に溢れていると感じますが、それはどういうものに影響を受けたのでしょう?
実家が昭和初期に建てられた家なんです。日本庭園があって、ステンドグラスもあってという感じの。和洋どちらも存在していて、年月を経るなかでリフォームして、さらに古いものと新しいものの出会いもあって。
そんな環境で暮らしていたせいでしょうか、私が異素材とか、違ったテイストのものをミックスするのが好きになったのは。
──幼少期の環境は大きいですね。ちなみに、子どもの頃はどんなお子さんだったのですか?
子どもの頃から何かを作るのが好きでした。
兄や兄の友達に交じって外で遊ぶのが好きな面もありましたが、お友達のお母さんに手芸を習ったりするのも大好きで、よく色々なものを作っている子供でした。
──好きな事に夢中になって、素直に、好奇心旺盛に生きてこられたことが「GRACE LIFE DESIGN」の商品に繋がっているんですね
そうかもしれません。
商品は自分の子どもの様に愛おしく感じます。
エネルギーを注いで世に出した作品なので、それを気に入ってくださるお客様に使っていただけたら、こんなに幸せなことは無いと考えています。
──経営者としての視点で、今後の抱負などはありますか?
経営者としては、まだまだです。もう少し量産化できるものも作らなければと思いますが、全てを量産化して利益を重視するという考えにはなれないんです。
バランスが大切だとは思いますが、クオリティの低下は一番避けたいことです。
基本的には、これからも納得のいく、私にしか作れないものを生み出し続けたいと思っています。
──鹿野さんのこだわり、そして想いを形にするチカラに触れることができました。本日は貴重なお話しを伺い、ありがとうございました!
こちらこそ、ありがとうございました。
(文責:編集部)
※この情報は2013年2月16日現在のものです。商品の仕様については変更されることがあります。
※商品の詳細情報等については公式サイト等でご確認ください。
Information
プロフィール&データ──────────────────────
鹿野敬子
インテリアメーカー勤務を経て、インテリアデザイン事務所や設計事務所等でモデルルーム・個人邸のインテリアデザイン&コーディネートに携わる。
フリーランスとして、中古マンションリノベーションやオフィスなどのインテリアデザイン・オリジナル家具・小物販売グラフィックデザインなどを手掛ける。
○公式サイト:
GRACE LIFE DESIGN(グレースライフデザイン)
○ネットショップ:
fascino-online shop(ファッシーノ オンラインショップ)
http://www.fascino-online.com/
○お問い合わせ:
カテゴリ: ビジネス・マネー