『マイセン動物園展』に見る動物たちの表情。超絶技巧が描く「不思議な動物の世界」は見逃せない!

「生き生き」「かわいらしい」「ちょっと怖い」その表情に注目を!

新橋のパナソニック汐留美術館で開催中の『マイセン動物園展』に行ってきました(2度目の訪問です)。今回は、その超絶技巧が表現している、「動物たちの表情」を中心に見てきました。

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マイセンは、1709年にヨーロッパで初めて白磁の製造に成功しています(正式には「マイセン磁器製作所」と言うようです)。
かつて、磁器は東洋(中国など)から輸入されたものばかりで、王侯貴族のみが手にできる大変な貴重品でしたが、当時のザクセン(今のドイツ)侯であったアウグストの命令により9年の歳月をかけて研究された結果、マイセン磁器製作所が白い磁器が誕生させ、それ以来マイセンはヨーロッパ最古の窯として、高級洋食器などは世界的な名声を得ています。

マイセンでは、いまでも絵付けは誇り高き職人たちによって、すべて手描きで行われているそうです。その技術・技巧の繊細さ、巧みさ、美しさはとてもレベルが高いものがあります。

動物をモチーフにした120点の作品
その表情が技巧のハイレベルさを表している

9月23日(月・祝)まで開催されている『マイセン動物園展』は、そのマイセンが製作した「動物をモチーフにした作品」が約120点集められています。

(撮影が許可されている作品も多く、それも楽しみを倍加させています)
テーマを「動物」に絞り、動物彫刻から壺や皿に描かれた動物まで、リアルでありながら、かわいらしい動物たちの作品です。

その動物の表情は、「かわいらしいもの」「ちょっと怖いもの」「なんとも言えず、不思議な動物顔」……といった具合に、マイセンの超絶技巧が、表情だけからも見ることができます。

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「山羊に乗る仕立屋」

この作品は「山羊に乗る仕立屋」と題されているのですが、仕立屋だけでなく、山羊も眼鏡をかけています。目が悪い仕立て屋が晩餐会に招かれたものの、目が悪い山羊に乗っているため、なかなか辿り着けない様子を表しているのだそうです。

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ラクダの表情が「ちょっと怒っている」感じ、です。

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「ライオンヘッド両手付飾壺」

「ライオン」が蛇をくわえている、という何とも不思議な構図です。でも、。やはりライオンは「怖い」です。

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この動物は一体「何なのでしょうか?」 大きな犬のようにも見えますが、ライオンでしょうか?

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これは「ワニ」ですね。怒っています。

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ここからは「器に表された動物」という章です。

多くは「スノーボール」と呼ばれる貼花装飾(手作業で製作された花や葉を付ける磁器装飾)に動物が加わった作品です。

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スノーボールの蓋の上に乗った「トナカイ」ですが、なぜか上を向いた構図で、胴体部分は「平ら」になっています。

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ここからは「アール・ヌーヴォーの動物」の章で、、かわいらしい猫や犬がたくさん登場します。

残念なことに犬の多くは撮影禁止になっていて、猫の画像が多いです。

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「二匹の猫」です。二匹の表情が対照的です。

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「木の幹に横たわるオオヤマネコ」

「木の幹に横たわるオオヤマネコ」と題されている作品です、横たわっているというより、しっかりと遠くを見ている感じの表情です。オオヤマネコって、こんな表情なんですね。

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内覧会の時に撮影させてもらった「二匹のフレンチブルドック」です。本物よりリアルな表情です。

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「シロクマ君の親子」です。顔を正面から見ると、やはり「シロクマは強くて、どう猛」ということがわかる表情です。

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ずいぶんと細長く伸びたキツネです。

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最後に登場するのは、マイセンでモデラーとして活躍した彫刻家マックス・エッサーの作品群です。この赤茶色い陶磁器は、「ベトガー炻器(せっき)」というもので、白磁を発明する前に作り出された焼物で膠塊粘土(こうかいねんど)言う鉄を含んだ土で作られていて、重さもとても重いので陶磁器には向かなかった、そうです。

それで、彫刻などに主に使われていたようです。

この「カワウソ」という作品は、パリ万国博彫で賞を取った作品で、とてもかわいらしい表情をしています。

『マイセン動物園展』は全国を巡回
2020年には、岡崎市、岡山市でも開催される

このマイセン動物園展は2020年には、愛知県岡崎市、岡山県岡山市でも開催が予定されています。動物好き、陶磁器好きにはとても面白い展示だと思います。

2020年7月25日(土)~9月13日(日)岡崎市美術博物館 
2020年12月5日(土)~1月31日(日)岡山県立美術館 

 

マイセン動物園展:https://panasonic.co.jp/ls/museum/exhibition/19/190706/