コショウ相場の過去最高値が続く! その背景に中国のカップ麺需要の爆発がある?

白コショウ7割高、黒コショウ6割高。日本は輸入依存度100%で、「パッとヒト振り」が高くなる!

pepper p1

 

皆さんは「コショウの値段」って意識したことはありますか?

そう、コショウ(ペッパー)はラーメン屋さんのカウンターには欠かせない香辛料ですし、肉を焼く前の下味づけなどでも、威勢よくパッパッと振ってしまいます。

コショウのもともとの値段は、他のスパイスと同じように産地などでの国際相場があり、日々変動しています。

そのコショウの国際価格が、いま、過去最高とも言える水準に値上がりしており、日本国内の卸値も史上最高値になっているのです。

 

コショウの値段がこの1年で7割高を記録している!

値段の指標となるコショウの主要産地のであるマレーシア産コショウの値段で言えば

黒コショウは1年前には1トン当たり7500ドル程度だったものが、現在では1万2000ドルへ、62%も値上がりしています。白コショウも、1年前には1トン当たり1万ドルでしたが、現在の2014年8月末では1万7000ドルと、7割も上がっています。

このような高値は過去記録したことがありません。

 

 pepper1

「黒コショウ、白コショウ、」というのは、元は同じコショウの実で、黒コショウはその実を皮つきで天日で乾燥させたもので、肉の味付けなどに主に使われています。白コショウは、コショウの実をいったん水に漬けておいて皮を剥き、それから乾燥させたもので、黒コショウと比べると作るのにはやや手間がかかり、商品となるまで時間もかかります。そのため、値段も少し高く、カップラーメンの味付けやハム・ソーセージ、シチューなどに使われることが多いのです。

 

熱帯で生育、収穫まで4ー5年もかかるのがネックに

では、なぜ、コショウの値段上昇が続いているのでしょうか?

2つの原因があって、

ひとつには、天候などから産地の生育状況の不安定が続いていること

 

コショウは、熱帯地域で生育する農産物で、主要生産国と言えるのは、べトナム、インドネシア、マレーシア、インド、スリランカなど東南アジアに集中しています。(他では、ブラジル、中国、マダガスカルなどがあります)

 

コショウは、作付けから収穫まで4ー5年の長い時間がかかるスパイスなので、この期間に、主要産地である東南アジア地域の天候が荒れると、収穫にすぐ影響が出て、「不安定な供給状態」に陥ってしまいます。2013-14年では、インドネシアで長雨で天候不順にさらされコショウの収穫落ち込みが続き、ここ数年、ベトナム、マレーシア、インドでも熱波、集中豪雨、洪水などの異常気象がコショウの生育に影響を与えています。

 

特に、ベトナムは世界の生産量の30ー40%を占める“コショウ生産大国”で、ベトナムの作柄量の豊作は不作かは、黒コショウの値段に直結します。また、水が豊富なマレーシア、インドネシアの作柄は、白コショウに影響してきます。

 

 pepper p3

 

食生活の変化と、中国の「ラーメン」がコショウに響く

 

 天候と並んで コショウ値上がりの要因となっているのは、開発途上国での「食生活の洋風化」が進み、需要量が膨張していること、です。

 

中東諸国では、これまでもコショウはよく使うスパイスでしたが、食生活の洋風化の波が強まるにつれて、ますますコショウの消費量は増加する傾向にあります。これは東南アジア諸国でも同じです。

 

特に注目しておかなければならないのが、中国でのカップ麺需要の急増です。

すでに中国の即席めん消費量は、年間462億食に達しており、世界の総消費量の44%を占めています。即席めん発祥の地である日本の消費が年55億食ですから、その8倍の規模になっているのです。しかも、中国で人気のある即席めんは「ビーフ味付け」で、コショウのピリッとした味が決め手になっています。

 

中国の即席めん市場は、袋めんからカップ麺へ需要の中心が移っており、カップ麺はまだ“ヒットしたての段階で、今後ますます生産量・消費量が増えていくと予想されています。ちなみに、中国の一人あたりの年間即席めん消費は34食で、これが日本人並みになると、年間消費量は580億食になる計算です。

中国の即席めんの生産・消費の伸びで、当然、コショウの買い付け量がますます増えているのです。

 

大航海時代には交易産物のスターだったコショウ

 

国際ペッパー協会(IPC)では「2014年のコショウの需給バランスは、5万3500トンの供給量不足になる」と見ています。

コショウの需要が増えているといっても、「農家では、コショウの実は収穫まで、4ー5年もかかるので、簡単にはコショウの作付けには踏み切れない。かつて、コショウからコーヒーや天然ゴム、パーム油の生産へ転作した農家も多く、それが戻って来るとは考え得にくい」(IPC)という事情があります。

マレーシア・ペッパー協会(MPC)のグルシン・アヨン事務局長は「今後も、コショウの価格は高値にとどまる可能性が高い」と言っています。

 

ちなみに、コショウは熱帯に生育する農産物なので、日本では生産できず、全量を輸入に頼っています(九州の一部地域で、契約栽培されている例はありますが、量的には統計に表われるほどではありません)。

 

日本では年間8000ー8500トン程度のコショウを輸入していますが、量的には増えていませんが、輸入金額のほうは年々増加しており、2009年には38億円だったものが、13年には74億円となっており、14年は「90億円台に乗ってしまうかも・・・」と見られています。それだけ、コショウの国際価格上昇は、日本の卸値に響いてきているということができるでしょう。

小売価格は、まださほどの上昇は見せていませんが、メーカーでは「コストダウンも限界。に来ている」という声が聞こえてきます。

 

 

 pepper2

 

 

かつて、15世紀には、コショウは東アジアから、ヨーロッパへ送られる貴重な「交易品」のひとつでした。ベネチアやコンスタンチノープル(現在のイスタンブール)は、コショウの交易地として栄え、「一握りのコショウは、同じ重さの金(ゴールド)と価値が同じ」と言われるほどでした。

大航海時代には、貿易商人はコショウをはじめとする香辛料の交易で財をなし、バスコ・ダ・ガマもインド航路発見の帰路には、多くのコショウを持ち帰り、儲けを出したと言われています。

かつての「花形スター」だった存在感こそありませんが、コショウの値段の動きは今後も注目しておきたいものです。

 

IPC(国際ペッパー協会)

Tweet about this on TwitterShare on FacebookShare on Google+Email this to someone