「白い馬」マシュマロのデビュー戦勝利を、寺山修司さんだったらどう書くのだろうか・・・

『奇跡の毛色』とも呼ばれる"白毛馬"に、新たな伝説が始まってほしい!

sirogeuma

 

11月13日に京都競馬場の第6レースで「マシュマロ」という馬が、デビュー戦勝利を飾りました。

特別なのは、このマシュマロは、サラブレッドの毛色としてとても珍しい“白毛”で、白毛馬がデビュー戦でいきなり勝利したのは、日本の競馬史上初めての出来事だったのです。

 

「白い馬ならばよく見ているよ」「乗馬クラブでも時々見かけるからね」という人がいるかもしれません。しかし、一般に白馬と呼ばれるサラブレッドは、ほとんどが“芦毛(あしげ)”という毛色で、生まれたときは、黒や黒灰色のことが多く、競馬場で走る年代のときはグレーがかった毛色をしており、歳をとるにしたがって白さを増していくという毛色です。芦毛はサラブレッド全体の約7%を占めており、オグリキャップやメジロマックイーンのような名馬がたくさん出ています。

 

これに対して、白毛は1ー2万頭に1頭出るか出ないかの毛色で、『伝説の毛色』、『奇跡の毛色』とも言われています。

 

「生まれたときから全身、白い毛で覆われている」のが特徴で、まさに見たら忘れられないような白さ、が際立っているのです。これまで、日本の競馬場で走った白毛のサラブレッドは19頭しかいませんし、海外でも希少な存在であることは間違いありません。

毎週土日は、中央競馬へ、平日は地方競馬へ・・・と通い詰めても、誘導馬としての白毛馬の姿は見ているでしょうが、白毛馬が走るシーンを見たことは少ないですし、ましてや白毛馬がトップでゴール板を駆け抜けるところを見るのは、「宝くじ並みの確率」なのかもしれません。

 

日本では1982年2月に中山競馬場でハクタイユーが新馬戦に登場したのが、白毛馬の最初の出現ですが、以来30年近くで、白い馬が勝ったのは中央・地方合わせて23回しかありません。2008年5月にはホワイトベッセルが中京競馬場で勝利し、中央初勝利を飾っています。そして、同年8月にはユキチャンが川崎競馬場で「関東オークス」に勝ち、重賞初制覇を挙げています。

 

サラブレッドの毛色には、鹿毛・黒鹿毛・青鹿毛・栗毛・栃栗毛・青毛・芦毛などがありますが、白毛は、先天的にメラニンが欠乏する遺伝子疾患であるアルビノではなく、突然変異か血統的遺伝で誕生します。

白毛遺伝子は他の毛色に対しては優勢そのため、良血の血統から生まれることもあり、マシュマロの父であるクロフネ(芦毛)はNHKマイルカップ、毎日杯を勝っており、母シラユキヒメ(白毛)の父(母の父=ブラッドメアサイヤー)はサンデーサイレンス、という良血なのです。「白い馬は病気がち」、「陽に当たると弱い」という説もありますが、科学的な根拠はないようです。

 

競馬エッセイ・小説の名人でもあった寺山修司氏の短編に『白馬物語』というエッセイがあります。

しかし、そこで語られているのは“芦毛馬”のことです。無理ありません、寺山氏が競馬エッセイをさかんに書いていた1960ー1970年代はじめには、まだ“白毛”は日本の競馬界に毛色として登場していなかったのですから・・・。

「サラブレッドの世界では、白い馬は悲しい宿命の血を引き継いでしまった。だから、白い馬にヒーローが出るとなぜかうれしくなってしまうのである」と書いた寺山さんが生きていたら、マシュマロの勝利をどんな話にしてくれるのでしょうか?

 

「白い馬は神様の乗る馬である。だが、乗る神様は福の神ばかりとは限らない。死神だって乗ることができるのだ」(寺山修司著『競馬無宿』より)

 

マシュマロにはぜひ、この先も福の神が宿ってほしいと思う、今日この頃です。

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