タイの大洪水で「砂糖値上がり」の心配も?

日本の砂糖輸入の約6割を占める「タイのサトウキビ」、その生産にも影響が出ている・・・

thai sato

 

10月に発生したタイの大洪水では、日本メーカーの自動車やレンズ、ハードディスクドライブなどの生産に大きな被害が出ています。

ただ、その影響は工業品の生産だけではありません。

 

いま、心配されているのは、タイの洪水被害が「日本の砂糖輸入」にどのような影響を与えるか、という点です。

 

というのも、タイは世界で第5位の砂糖生産国で、年間約7200トンのサトウキビを生産しており、その地位は、ブラジル・インド・中国・アメリカに次ぐ位置にあります。

しかも、砂糖の輸出量では、ブラジルに次ぐ世界第2位の座にあり、とくに日本は、砂糖の全輸入量の約50~60%(08年実績で64%、09年で58%)をタイに依存しているのです。

 

商品市場の情報誌である『週刊 商品データ』によれば、「サトウキビの総作付面積の45%に当たる6万4000ヘクタールに洪水被害が出ており、今回の洪水で、サトウキビ圧搾作業が遅れる見通し。港湾設備の被害もあり、日本向けの砂糖出荷がスムーズに行くかどうかも懸念される」とレポートしています。

 

気になるのは粗糖相場の価格上昇ですが、幸い?なことに、今年は砂糖の大消費国でもあるロシアで、砂糖の原料となる甜菜糖(ビート=サトウダイコン)が大豊作となっているため、現在までのところ砂糖需給にひっ迫感が出ていないようです。そのため、相場もまだ大きく乱高下していません。それでも、10月はニューヨークの粗糖先物相場では、砂糖の価格は22%上昇し8ヵ月ぶりの高値を記録するなど、波乱の要素が払拭されているわけではありません。

 

先行きの見通しについても「タイ洪水によるサトウキビの被害は限定的で、需給に与える影響は大きくない」とする見方がある一方で、「砂糖市場は規模が大きくないので、投機筋やファンドの資金が流入すれば、大きな変化もある」と言うムキもあります。

国際的な砂糖価格が上昇すれば、その波は日本の清涼飲料・菓子・飲食・調味料の業界へ大きくはね返ってきてしまいます。

クリスマス、お正月とスイーツや甘いものの消費量が増える時期を迎えて、この先の砂糖の動きが気になります。

 

 

商品市場情報誌『週刊 商品データ』