「可及的すみやかに」と「遅滞なく」はどっちが早くコトが進むの? 使いこなせればあなたもエリート官僚に!? 

「いまでしょ!」と言われても「いま、やれないとき」はどう言う?

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モノゴトの解決に、「いつやるの?」「いまでしょ!」と行ければ、こんなに身の回りのコトがゴチャャゴチャにならなくてすむのですが、そうも行きません。

そんなとき、かねてより「使いこなせたら便利かも」と思っていたのは、永田町の予算委員会やナンチャラ審議会で、官僚・お役人の方たちがお使いになるあの言葉群です。

 

そこで、『業界用語辞典』(米川明彦著・東京堂出版)や『現代語裏辞典』(筒井康隆著・文芸春秋)、『お役所の掟』(宮本政於著・講談社)など、名著・名辞典のページを繰って、どんな言葉がどんな意味で使われるのか、調べてみました。

 

●「可及的すみやかに」・・・「やるつもりはあります」という意思表示。「可及的」というのは「ゆっくりに、の前置詞」と指摘する向きもありますが、「取り組む」という姿勢だけは評価されるらしい。

 

●「検討いたします」・・・「聞くだけは聞いた。けれど、ほとんどヤル気はない」という意味。

 

●「前例がないので」・・・「なに、バカなこと言ってんの!」の穏当な表現。強い拒否を表わす言葉。

 

●「ただちに」・・・一応、役所・官庁などでは、コトに当たるのに一番時間が短い、とされているらしい。

 

●「遅滞なく」・・・「やってみますから、ちょっと時間がかかっても文句言わないでくださいね」。

 

●「つとめる」・・・「やってみるかもしれないし、やらないかもしれません」。要は気分次第? 「やった場合でも責任は取りませんよ」という意味で使われる場合もある。

 

●「適切に対処する」・・・「ほとんど何もしない」という意味。

 

●「前向きに対処する」・・・「適切に対処する」と同義語だが、『お役所の掟』本によれば、「相手にやや明るい希望を持たせたい場合に用いる用語」とか。「遠い将来には何とかなる場合もある」といった程度なんでしょうか。

 

●「配慮する」・・・「いただいた書類は机の上に積んでおきます」といった感じ。「気配り」の一種かもしれません。

 

●「鋭意」・・・「ほどほどに」「なんとなく」「怠慢を責められない程度に」というような意味。「自分の努力だけは印象づけたいときに使用する」という解釈もあります。

 

●「見守る」・・・「時間がたってみなきゃわからんじゃないですか」を言い換えた表現。

 

となれば、スピード感で言えば、早く進めるという順番で並べると、

 

「ただちに」<<「可及的すみやかに」<<「遅滞なく」<<「鋭意」<<「前向きに」 

 といった感じになりそうです。

モチロン、これを普通の仕事場で使うと「おちょくってんの?」と怒られそうですので、不用意な使用はお奨めできません。

なお、お役人の皆さん、上記の意味等は決して私が思っているというわけではありませんので、念のため。ご迷惑がかかるような場合がありましたら、適切に対処いたします。

 

<参考文献>

・『業界用語辞典』(米川明彦著・東京堂出版)

・『現代語裏辞典』(筒井康隆著・文芸春秋)

・『お役所の掟』(宮本政於著・講談社)