サッカー・ビッグクラブの収入ランクに新たな風が吹く!! リヴァプール、トッテナムが波乱を巻き起こすか?

レアル、バルセロナの二強に挑むプレミアリーグ勢!

世界のサッカー・ビッグクラブの収入ランキングは、いまどう変化しているのでしょうか? 毎年、国際的な監査法人「デロイト(DELOITTE)」が、「世界のサッカークラブの収入ベスト20」を発表しています。2年ぶりにその動向をお伝えしていきましょう。

シーズンは「2017-18」のシーズンということになります。

デロイト社は英国ロンドに本拠を置く監査法人ですが、いつも興味深い分析レポートを発表しています。この「デロイト・フットボール・マネーリーグ」の集計もすでに20年以上続いています。

すごいですね。

日本では、「デロイトトーマツ社」がグループ企業の一員として活動しています。
今回、分析していただいたダン・ジョーンズ氏をはじめとする分析スタッフの方々に感謝しつつ、そのポイントを見ていってみましょう。(詳細はデロイト社のサイトを参照ください)

デロイトトーマツ社 https://www2.deloitte.com/global/en.html

まず、解説は後回しにして、上位20クラブの順位を見てみましょう。

レアル・マドリード(スペイン)が首位に返り咲く!!
スペイン2強が定位置の上位だが、今後は波乱も?

●『サッカークラブの収入上位20(2017-18シーズン)』ランキング
順位   クラブ名         年間収入額    (円換算・前年比伸び率・前年順位)
1位 レアル・マドリード(スペイン) 7.51億ユーロ (916億円・+11%・2位)
2位 バルセロナ(スペイン) 6.90億ユーロ (841億円・+6%・3位)

3位 マンチェスターU(イングランド)6.66億ユーロ (812億円・▼2%・1位)
4位 バイエルンM(ドイツ) 6.29億ユーロ (767億円円・+7%・4位)
5位 マンチェスターC(イングランド)5.68億ユーロ (693億円・+7%・5位)
6位 パリ・サンジェルマン(フランス)5.41億ユーロ (660億円・+11%・7位)
7位 リヴァプール(イングランド) 5.13億ユーロ (625億円・+21%・9位)
8位 チェルシー(イングランド)5.05億ユーロ (616億円・+18%・8位)
9位 アーセナル(イングランド)4.39億ユーロ (535億円・▼10%・6位)
10位 トッテナム(イングランド)4.28億ユーロ (522億円・+18%・11位)

11位 ユヴェントス(イタリア)       3.94億ユーロ (480億円・▼3%・10位)
12位 B・ドルトムント(ドイツ)     3.17億ユーロ (386億円・▼5%・12位)
13位 アトレティコ・マドリード(スペイン)3.04億ユーロ (371億円・+11%・13位)
14位 インテル(イタリア)     2.80億ユーロ (341億円・+7%・15位)
15位 ローマ(イタリア)     2.50億ユーロ (305億円・+46%・ランク外)
16位 シャルケ04(ドイツ)  2.43億ユーロ (296億円・+5%・16位)
17位 エバートン(イングランド) 2.12億ユーロ (259億円・+6%・20位)
18位 ACミラン(イタリア) 2.07億ユーロ (252億円・+8%・ランク外)
19位 ニューカッスルU(イングランド)2.01億ユーロ (245億円・+102%・ランク外)
20位 ウエストハム・U(イングランド)1.97億ユーロ (240億円・▼7%・17位)
※円換算額は1ユーロ=122円で換算しています。

やはりスペインのリーガ2チームの強さは依然として光っています。
ここ2年、首位の座をマンチェスター・ユナイテッドに明け渡していましたが、レアル・マドリ―ドが、3季ぶりにトップを奪還しましたし、バルセロナも2位に上がってきました。

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トップに返り咲いたレアル・マドリード

特に、レアルは日本の久保建英選手の入団が決まりましたし、チェルシーのエースアタッカーだったエデン・アザール(ベルギー)選手の入団も決まっています。ジダン監督が率いるガレス・ベイル、ルカ・モドリッチ、トニ・クロースと世界各国から集まったスター軍団は、強さ・人気という点でもレアルは間違いなく世界トップクラスです。
2019年のUEFAチャンピオンズリーグこそ、ベスト16で敗退してしまいましたが。次は
どんな戦い方を見せるのか、ますます熱い注目を集めそうです。

ただし、今後の展開となると、レアルとバルセロナの「2強時代」は波乱の様相が待ち構えていそうです。
プレミア勢の攻勢が激しくなってきていますし、従来 レアルを牽引してきたC・ロナウドはすでにセリエのユヴェントスへ去っていますし、バルセロナのエース、リオネル・メッシが威光がしだいにではありますが、薄れてきていますし、両チームともにスター選手の入れ替わりが激しくなってきています。
それが、今後の世界的な人気にどのような影響を及ぼしてくるのでしょうか?

実力上位へ躍進し、プレミア勢の勢いが増す!!
クロップ監督率いるリヴァプールのUEFA優勝が大きな転機となるか

20位までを見ると、最近では、イングランドのプレミア勢の躍進ぶりが目立ちます。
このシーズンでは9チームが名を連ね、常連だったマンチェスター・ユナイテッド、マンチェスター・シティ、チェルシー、アーセナルといった“常連組”に加え、その大きく勢いを増してきたのが、リヴァプール、トッテナム、エバートン、ニューカッスル、ウエストハムといった面々です。

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UEFAチャンピオンズリーグを制し、さらに上位が望めるリヴァプール

この背景にあるのは、プレミアリーグの放映権料が、他国のリーグと比べ圧倒的に高く、その分配金が、クラブの成績や、放映試合数に応じて各クラブに分配される仕組みとなっているからです。
2018-19シーズンの放映権料の総額は24億5600万8346ポンド(約3413億円)という巨額に上り、各クラブにおよそ8251万ポンド(約115億円)が等分配されています。
国内向け放映権だけを比べても、ドイツのブンデスリーガの放映権料と比べると約2倍、スペインのリーガ・エスパニョーラの放映権料と比べると約8倍もの開きがあり、収入面だけを見るとプレミアのチームは恵まれていると言えます。
プレミアのチームのなかでも、国内での生中継が29回と最も多かったリヴァプールはおよそ1億5242万ポンド(約212億円)と最も多くの分配金を得ていますし、リーグ優勝したマンチェスター・シティは210億円となっています。
しかも、実力、成績という点からも、2019年のUEFAチャンピオンズリーグ決勝がリヴァプール対トッテナムとなったように、プレミアのチーム上進出するケースが増えてきていますので、その分配金収入が上乗せされる今後は、ますますランクアップでは目の離せない存在となりそうです。
19位にランクインしたニューカッスル・ユナイテッドは、この年に二部から一部へ昇格したばかりです。もともと、歴史と伝統のあるチームで、地元の人気も根強いことから、一部へ上がった効果(特に放映権料分配)は非常に大きかったと言えるでしょう。

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プレミア勢の勢いの良さを象徴するトッテナム・ホットスパー

ビッグクラブは「商業収入」で、世界から稼ぐ
成次第で、その後の「収入構造」がガラッと変わってくる!!

以前にも書きましたが、サッカークラブの収入には、大きく分けて 
①入場料収入(観客入場料、試合ボーナス、勝利ボーナス等)
②放映権収入(テレビ放映権料、画像配信分配金等)
③商業収入 (スポンサー契約料、グッズ販売売上、興行収入等)
の3種類があります。

特に、上位に位置するチームはスポンサー契約料、グッズ販売売上、興行収入等といった「商業収入」が、収入全体の約半分を占めるといった構成になっています。
これは、知名度的に「世界」に広く名前を知られているため、スポンサーが世界各国から集まってきていている、という点でもあり、 世界に広くサポーターがいるという点もあります。
これがビッグクラブの大きな特徴と言えるかもしれません。

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例えば、リーガエスパニューラの、レアル・マドリード、バルセロナは、「商業収入」が、収入全体の約47%を占めて、稼ぎ頭となっています。
パリ・サンジェルマンに至っては、「商業収入」が58%を占めており、「放映権収入」は、わずか24%にとどまっています。

プレミアのマンUやマンCも「商業収入」が、47%を占めておいますが、対照的に、トッテナムなどは「商業収入」は全体の27%で、「放映権収入」が53%、となっています。
このところチーム成績が良く、UEFA優勝を果たしたリヴァプールは、この段階ではまだ「商業収入」が33%と、他のビッグクラブと比べて低く、「放映権収入」49%への依存度が高いという構成を示しています。これが、今後、どのような変化を見せてくるのかが注目です。

資料:Deloitte Football Money League

https://www2.deloitte.com/global/en/pages/consumer-business/articles/deloitte-football-money-league.html