「過去最高の興行収入」を更新してきた、2011年は波乱か?

「日本映画」の快走は続くのか?

「映画は不況に強い!」という言葉が定着しつつある。
社団法人・日本映画製作者連盟が発表しているデータでは、2010年の映画(日本映画+洋画)の観客動員数は1億7436万人に達し、前年度3%増を記録している。

「堅調な日本映画」プラス「洋画の盛り返し」が効いている。
興行収入で見ると、日本映画は、ここしばらく堅調な動きを示しており、3年連続して、1100億円以上を記録。過去最高を更新中である。過去には、2002年には洋画1434億円、日本映画533億円といった「洋高邦低」の時代が続いていたが、2008年に逆転に成功している。

洋画のほうは、08〜09年に1000億円割れが続いていたが、昨2010年には『アバター』の大ヒットがけん引し、『アリス・イン・ワンダーランド』、『トイ・ストーリー3』と、100億円以上を記録したメガヒット作が3本も出たため、洋画全体の興行収入も1020億円と久々に大台を回復している。

jp_eiga-zu01

08年の『おくりびと』のアカデミー受賞で活気づく

日本映画の好走のキッカケとなったのが、08年3月に米国・アカデミー賞の外国語映画賞を受賞した滝田洋二郎監督作品の『おくりびと』だ。日本映画の質の高さを証明したことで、映画館に中高年層を引っ張り出した功績は大きいと言えるだろう。

映画では、興行収入で10億円を超えると「ヒット作品」と言えるが、2010年は日本映画で29本、洋画で19本という結果だった。日本映画はここ数年、10億円以上作品が07年29本、08年28本、09年が34本。洋画の22本、24本、22本を上回っている。ただ、その反面では、100億円を超える「メガ級」は08年の『崖の上のポニョ(150億円)』以来、出ていない。

今年は「節電」の影響も色濃く出てくる・・・

こういった堅調な成績を上げながらも、映画関係者の表情は送明るくない。というのも「動員数や興行収入は、全体としては堅調とも言えるが、その内実は1スクリーン当たりの観客が伸びていないし、劇場の整理・再編も進んでいる。ビデオ市場の悪化も響いている」(映画関係者)といった具合なのだ。

さらに、大きな課題は、東日本大震災で、東北地方では休業や再開のメドが立っていないシネコンもあり、首都圏でも一時休館から再開したものの、客足が戻ってきていないシネコンも多く出ていることだ。

映画配給最大手の東宝の2011年5月の数字を見ても、TOHOシネマズ直営館を含めて、東宝グループ館全体の興行収入で8%減(前年同月比)、入場人員で5%減といった成績。1〜5月累計では興行収入で21%減、入場人員で18%減を記録している。「洋画で『ブラック・スワン』が好調に伸びているが、自粛ムードの影響、夏場の節電による営業時間短縮の影響など、今後の不透明材料は多い」と言う。

ここ数年、好調な数字を示してきた映画だが、今年2011年は変調の年となりそうだ。
「安・近・短」レジャーが注目されており、映画はその対象に入ってきており、「遠出ができないので、せめて映画でも……」という声や、「勇気をもらえるような映画なら見て見たい」といった声も聞こえるのだが、その一方では、「まだ、落ち着いて、映画館でゆっくり楽しむという気分が出てこない」という気分も多くあるようだ。

Tweet about this on TwitterShare on FacebookShare on Google+Email this to someone

〔掲載データ出典元〕

一般財団法人 日本映画製作者連盟